ボトックスは 体に 害がないのか

何回もボトックスを注射して、体に悪い影響はないのか

ボトックスは、ボツリヌス菌を注射するものではありません。ボツリヌス菌が作るA型ボツリヌス毒素の僅かな量を痙攣している筋肉に注入するものです。ボトックスは、生物由来製品であり、毒薬に指定されています。

筋肉に投与されたボトックスは、筋肉に留まり、一部は血液に移行し、その後、尿に排泄されます。通常は、全身への影響はない、とされています。私の臨床経験でも、注入した局所以外の部位で副作用が発生したことはありません。

しかし、きわめて稀に、注射した局所とは離れた部位に、副作用が出ることがあります。珍しい出来事、として医師が学会で報告することがあります。局所に注射されたボトックスが、遠く離れた筋肉まで血流に乗って運ばれ、脱力、嚥下障害、息切れ、声を出しにくいなどの症状を出すことがまれにあります。これは、医師が注射したボツリヌス毒素によって生じるものなので、医原性ボツリヌス中毒と呼ばれます。

ただし、眼科で使用するボトックスは、50単位以下が普通であり、この量で医原性ボツリヌス中毒が起きることは、まず無いものと考えます。

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